Report活動レポート
海外の教育現場で
英語教育法を学ぶ
深澤萌 群馬県立女子大学
(国際コミュニケーション学部3年)
- 留学先:
- オーストラリア
Language Education Tertiary School
将来自分の糧になる経験をしたい
今回の私の留学の目標は、「将来自分の糧になるような経験をすること」。ぐんま国際教育財団より奨学金をいただき、夏休みを利用して7週間、オーストラリアのLanguage Education Tertiary Schoolに留学しました。私が選んだのは日本における小学校英語指導者を育成するプログラムで、「教える」ということについて広く学ぶことができる充実したものでした。
普段の授業では、子どもの年齢に合わせた英語教育法やクラスマネージメント、指導案や教材などについて学びました。例えば12歳以下が対象の場合、「this」を説明するときには日本語で「この・これ」と教えるのではなく、認知的な動作、つまり何かに触らせて「this」と教えるということなど、新しく知ることばかりでとても新鮮でした。
「机上で学んだこと」を実践する難しさを痛感
通常の授業や筆記試験に加え、週に1~2度、「マイクロティーチング」という試験がありました。これは、クラスメイトを生徒役にして授業をするというものなのですが、この試験を通して「机上で学んだこと」を実践する難しさを痛感しました。
まずは指導案の作成からスタートします。授業で学んだ方法で指導案を作成していくのですが、ゼロから自分で考えるのは想像以上に大変なことでした。次は、教材の作成です。教材は視覚的学習をサポートするものであり、授業の中ではとても重要な役割を果たします。さまざまな点に注意を払いつつ、自分の作成した指導案に効果的な教材を考えていくのです。文字表記はきちんとしているか、イラストは固定観念を表すものになっていないかなど、学ぶ側の視点に立って作成することが求められました。
試験では発音、声量、時間管理なども評価されます。不合格になることも少なくありませんでしたが、講師からのアドバイスは意表を突くものばかりで、自分の思考が教える側に偏っていたことを思い知らされました。
教育の現場で日本との違いを体感
学校での学びに加え、現地の幼稚園や小学校での研修もありました。幼稚園では、先生が子どもたち一人ひとりと熱心にコミュニケーションをとっている姿が印象的でした。子どもたちの言葉に真剣に耳を傾け、朝会ったときにはハグやキスをしていて、両者の間に信頼関係が築かれていることが伝わってきました。
また、小学校で印象的だったのが、パソコン教育です。私が担当したのは5~6歳児の授業でしたが、まだ幼い子どもたちが慣れた手つきでパソコン起動させ、ログインしている姿には驚かされました。
経験からしか得られないものがある
学校の勉強はハードでしたが、多くの友人の励ましに支えられました。誰かが試験に落ちたときにはみんなで指導案を考え直し、教材が時間内に仕上がらないときには手伝い合いました。ともに学んだのは11人。年齢も職業もさまざまでしたが、卒業という一つの目標に向かって全員が一丸となって取り組みました。みんなそれぞれの価値観や考え方を持っており、教育や人生などいろんなことについて語り合うのはとても有意義でした。
今回のオーストラリア留学を通して、実際に経験することでしか得られないものがあることを学びました。この体験をきっかけとして、今後は教育についてより考えを深め、また新たなことにチャレンジしていきたいと思います。