Report活動レポート
語学だけでなく、社会への関心を
深めたアメリカ留学
井上萌 群馬県立女子大学
(国際コミュニケーション学部3年生)
- 留学期間:
- 2015年8月6日〜2016年5月18日
- 留学先:
- 米国
オクラホマ州立大学
アメリカ留学の3つの目的
私は2015年8月から約10ヵ月の間、米国のオクラホマ州立大学にて交換留学をしました。今回の留学の目的は、主に3つでした。1つ目は、多くの人種が入り混じる米国で生活をすることで、人々がどのようにそれぞれの文化を共存させ、コミュニケーションをとっているのかを学ぶこと、2つ目は、米国の一般学生と共に大学の授業を受けることで、海外の学生がどのような姿勢で授業に臨み、学んでいるのかを知ること、3つ目は、世界のビジネスの中心となっている米国で、国民や企業はどのように経済と関わっているのかを実際に感じとることでした。
アメリカの授業を受けて変わった意識
米国に到着してから2週間ほどで、オクラホマ州立大学での授業が始まりました。留学期間が約10ヵ月であったため、秋学期と春学期の2学期間の授業を履修しました。秋学期には5科目(社会学、フード・サイエンス、ホテル・レストラン経営、食品準備、英語論文の書き方)、春学期には4科目(倫理、心理学、関係学、スペイン語)を履修しました。秋学期の初めは、英語で授業を受けるということに慣れていなかったということもあり、課題やレポート、テスト等を効率よく熟すことが大変で、時には徹夜をすることもありました。
また、授業を受ける中で、日本学生と米国学生の授業に対する姿勢の違いを感じました。日本では、先生の講義を聴き、それをノートに記すという授業形態が一般的である一方、米国では、教科書や教材をもとにディスカッションをしたり、意見を交換し合ったりして授業を進めていくとこが多いように感じました。また、その影響からか、ディスカッション等が行われないクラスでも、十分に理解できなかった部分をすぐに質問したり、そのテーマに基づいた自分の経験をクラスで共有したりしていて、先生から学生への一方通行の授業ではなく、先生と学生が両方向から情報を伝え合っていて、より活発な授業が行われている、という印象を受けました。
私が履修していた授業に留学生は私1人であり、当初は、「英語がうまく伝わらなかったら嫌だな、恥ずかしいな」というように考え、授業内で発言をすることを躊躇っていました。しかし、授業が終わった後に「今日も発言できなかったな、これでは何のために海外留学をしているんだろう」と考える自分がいることに気が付きました。
それからは、少しずつではありましたが、授業内で発言をしたり、日本で経験してきたこと等をクラス内で共有をしたりするように心がけて授業に臨みました。もちろん、周囲の一般学生のように流暢に話せなかったり、単語がすぐに思い浮かばずに止まってしまったりすることはあったものの、1人の学生としてしっかり授業に取り組んだということがその後の自信につながり、授業に対するモチベーションの向上にもつながりました。この姿勢は、留学期間が終わり、日本の大学で授業を受けている現在でも意識していることの1つです。
初めての寮生活での交流
また、留学中は大学の敷地内にある寮で生活をしていました。私の住んでいた階は、米国学生だけでなく各国からの留学生が集まり共に生活をする「インターナショナル・フロア」と呼ばれる階でした。私のルームメイトはオクラホマ州出身のアメリカ人で、私にとってそのルームシェアは初めて誰かと部屋を共有するという経験でした。当初は、母国語や文化、習慣の異なる相手と共に生活をすることは、私たちにとって簡単なことではなく、お互いの生活リズム等を探り合いながら生活をしていました。
国による常識や習慣の違いにより、困難にぶつかることも何度かあり、どのように対応していいかわからないこともありましたが、そんなときに彼女は「なんでも嫌なことや困ったことがあったら相手に伝えないとわからないよ、アメリカはなんでも話し合って決める国だし、例えここを直してほしい、と言われたとしてもそんなことくらいで相手を嫌いになったりはしない」と私に伝え、それから私たちはどんなことでも言い合える、楽しい時間も辛い時間も共有できる、とても親しい友人になりました。
また、他の留学生や一般学生との交流を重ねることで、彼らの国ではどのような文化や慣習があるのか、その国では日本をどのような国ととらえているのかということを実際に耳にすることができ、各国の文化に関する知識を深めることができました。そこで出会った彼らとは現在でも連絡を取り合っていて、私にとって彼らとの出会いは、掛け替えのないものとなりました。
彼らと交流をする中で、彼らの社会や経済に対する興味や知識の深さに驚かされました。最近高校を卒業したばかりだという学生も含めたみんなで国の政治について語り合い、政治家の演説を聴きに行くということが何度かありました。米国の学生たちの、社会の一員として政治活動や経済状況に関心を持ち、積極的に活動に参加していくという意欲が、日本学生たちのそれらに対する意欲と全く異なり、日本人として、国政や社会について自分がいかに無知であるかを感じました。私は米国留学中に20歳の誕生日を迎え、今後行われる選挙の投票権を持つことができるようになったため、それをきっかけに、これからは彼らを見習い、社会状況や政治にもっと関わっていきたいと感じました。
留学を通してできた目標
今回の留学を通して、英語力を高められただけでなく、日本ではなかなか味わうことのできない密度の高い多文化共生社会を体験することができたと共に、社会に対する自分の考えを深めることができました。私はこの留学を忘れずに、これからの自分の人生を確立させていきたいと思います。