Report活動レポート

初めての海外経験で学んだ異文化理解

永堀綾乃
群馬県立女子大学(国際コミュニケーション学部4年)

留学期間:
2022年8月28日~2023年4月26日
留学先:
カナダ(ヒューロン大学)

初めての海外経験で学んだ異文化理解

私は英語力向上および宗教学を中心に学ぶことで異文化理解力の向上を目指し、交換留学に挑戦しました。初めての海外経験だったこともあり、留学中は多くの新たな学びを得ることができましたが、その中で、自分にとって最も大きかったことが3つあります。

一人の「人」として思いやりを持って接すること

一つ目は、異文化間コミュニケーションにおいて大切なのは、「語学力」よりも「思いやり」であるということです。渡航前は、学生時代に最も力を入れて勉強し、得意となった英語を常に使う環境に身を置けることがとても楽しみでした。

しかし、実際に留学してみると、自分が想像していたよりも英語を聞き取ることに苦労し、言いたいことをうまく伝えられないことも多く、自分の英語力に自信を無くしてしまったこともありました。また、異なるバックグラウンドや価値観を持つ人々とどのように接するべきかわからず悩み、内気な性格も相まって、他人と話すことに苦手意識を持ち、避けてしまっていた時期もありました。

しかし、時間が経つにつれて多くの友人をつくることができ、心の距離も縮まったことで次第に打ち解けることができました。また、彼らとともに学内だけでなく学外でも同じ時間を多く共有したことで、出身や価値観を問わず、一人の「人」として思いやりを持って接することが、良いコミュニケーションや人間関係を築く上で大切であることに気づくことができました。それと同時に、自身の稚拙な英語力が異文化間コミュニケーションにおいて、障壁になるのではないかという不安も徐々に小さくなっていきました。

相談することの大切さ

二つ目は、相談することの大切さです。留学当初は多くの苦労に見舞われながらも、貴重な体験を無駄にしまいと、学業だけでなく普段の生活も理想のものにしなければならないという考えが常に頭の中にありました。

ヒューロン大学

のちに精神的につらくなってしまいカウンセリングを受けたのですが、その際、この完璧主義的な考えが自分を追いつめていたことに気づけなかったことがわかりました。さらに、カウンセラーのアドバイスを受けたことにより、それまで固執していた観念から少しずつ離れ、常時完璧を目指さなくてもいいということを、身をもって学ぶことができたため、早い段階で相談窓口を利用して本当に良かったと思いました。

世界から見た日本

三つ目は、日本のことについてです。私が日本からの留学生であることを伝えるたびに、日本のポップカルチャーや伝統文化、食べ物が好きだといったことを多くの人々から聞き、日本は幅広い分野で世界的に有名であることを実感しました。実際に日本に観光や留学をした経験のある人も少なくありませんでした。

また、私が履修した宗教学の授業で私は唯一の日本人学生で、クラスメイトの大半がキリスト教を信仰していました。講義やディスカッションを通し、日本の宗教観が特異なものであることに気づき、クラスメイトや先生方にとっても興味深いものであることもわかりました。しかし、私の予想に反し、過酷な労働環境や自殺率の高さなど、社会問題も併せて有名であることもわかりました。

貴重な経験や培った力を活かし、将来の目標へ

ヒューロン大学で過ごした8ヵ月間は、学びと思い出にあふれたかけがえのない宝物です。留学の成果としては、英語を話すことや外国人の人々とコミュニケーションを取ることの場数を多く踏んだことから、英語力や異文化理解力、対人能力を磨くことができたと考えています。

ヒューロン大学

また、特に宗教学の授業では、正解のない事柄に対し、自分自身の観点から理論的に考え、言語化することが履修上の目標として掲げられ、課題もその力が求められる内容の論述が多かったため、その力も育むことができたと思います。このような貴重な経験ができたのは、貴財団の方々をはじめとした多くの方々の支えがあったからこそであります。

そのため、私は将来、「人を支えること」を指針とし、留学で得た成果をそのような場面で活かしていきたいと考えています。人を支える、と言っても多岐にわたりますが、現時点では、主にグローバル企業や人材の育成に携わりたいと考えています。

将来はより国際化が進むことが見込まれていますが、その中で日本が海外とともに技術面だけでなく文化の面でも発展していけるよう、懸け橋となれるような人物になることが今後の目標の一つです。

また、カナダでの長期滞在を経験し、人々が多様なバックグラウンドを尊重し合い、協力し合いながら生活する環境が大変過ごしやすく感じました。そのような生活環境のある国で働くことにも魅力を感じ、将来のもう一つの目標として、留学で培った能力を活かしカナダで働くことも目指していきたいと思います。