Report活動レポート
多様な人々との交流を通して、積極性やリーダーシップが向上
クリバリーカディージャ
群馬県立女子大学
(国際コミュニケーション学部2年)
- 留学期間:
- 2023年9月18日~2024年2月9日
- 留学先:
- マレーシア(マラヤ大学)
留学までの準備期間と過ごし方
令和五年の九月末から翌年の二月上旬までの約五ヶ月間、マレーシアのマラヤ大学に留学した私は、留学の準備、留学先での生活、人々との交流、そして勉強面において、多くのことを学んだ。今回の留学を経て、もともと乏しかった積極性やリーダーシップを大いに養うことができたと感じる。また、興味のある開発学をマレーシアならではの視点から集中的に学ぶことができた。一学期という短い期間ではあったが、大変濃厚で、自身の成長と将来に繋がる大切な期間であった。
マレーシアへの留学の準備は出発の約一年前から始まった。留学に必要なTOEFLの受験、交換留学と奨学金の面接選考などの準備をする中で、開発学の知識を深めることや異文化交流をすることなどの留学目的がより明確化していった。また、パスポート作りと書類集めの過程では、様々な困難に遭遇した。
まず、パスポート用写真でヒジャブをかぶっていることで町役場の方にムスリム証明の提出を求められた。その上、その写真のパスポートを保持していることで何かあったときには自己責任であることを同意する誓約書まで書かされた。もちろんパスポートは個人のものであり、有事には自己責任であることは当然であるし、ヒジャブをかぶっている時点でムスリムであるので、町役場の方々ですら明確な取得方法を理解していない証明書を求めるのは少し不合理であり、人によっては傷つくのではないかと感じた。
そのため、パスポートの準備を通して、より合理的で臨機応変な対応が多様化していく日本では必要であると実感した。その他の学校への書類提出では、同様に留学準備をしている学生との情報共有や確認作業、大学の方々への質問を行うことで進めることができた。これらの準備を通して、人と協力して物事を進めていく姿勢を学んだ。
多様な人々が集まって暮らす寮生活
留学後はマラヤ大学の寮で生活した。寮には主にルームメイトと同じインドネシア人、中国人、ドイツ人そして日本人が暮らしており、とても温かい雰囲気であった。
出身地でかたまることなく交流し、お互いを気にかける人が多かったため、大変過ごしやすかった。さらに、多様な英語を聞く機会があったため、英語の傾聴能力はもちろんのこと、理解が難しい場合でも相手の意図を汲み取ることができるようになったと感じる。
しかし、多様な人々が集まって暮らすので、共同スペースの使い方などで価値観の違いを感じたが、それもまた良い経験になった。また、自然が豊かで、現地の動物に囲まれながら生活した。マカクという猿も生活しており、食べ物を奪われるなどの危険があるため、現地の方々に対策を聞いて気を付けて過ごした。
一方、猫は現地の人に親しまれており、人間にとても慣れていた。現地の人々は猿、猫、鳥を含め動物を気にかけて大切にしており、自然と上手く共存している様子が印象的であった。マレーシアでの生活や人々との交流を通してより活動的になることができた。
マレーシアの留学経験で身についた能力
マラヤ大学での勉強においては、授業スタイルの違いから苦労することが多々あったが、大変有意義な一学期であった。履修した授業は「開発経済学」、「グローバル化と包括的発展」、「途上国の政治」の開発学を中心とした3つの科目だったが、どれもボリュームのある内容であった。
当初の目標であった経済成長が著しいマレーシアならではの視点から開発学を学ぶことができた。マラヤ大学は学生数が多いため、グループで取り組む課題が多く、協調性やリーダーシップを養う良い機会となった。グループで執筆するエッセイでは、内容の統一性を維持することが重要であり、そのための話し合いの呼びかけを積極的に行った。
勉強面でどの科目にも共通して学んだ重要なことは、実際に開発を進めるときには各国の性質(文化、歴史、常識など)の違いを知ることの重要性である。開発学の理論や先進国が発展した方法を他の国にも当てはめようとしても上手くいかないことがほとんどであり、それぞれの国に最適な方法を見つける努力が必要だと知った。また、グループをまとめるための工夫やコミュニケーション能力を磨くことができた。
マレーシアに留学したことで、情報収集力、コミュニケーション力、活発性、問題解決力、開発学の知識などが向上し、幅広い面で成長できたと思う。マレーシアの留学経験で身についたこれらの能力を活用し、これからの開発学のより深い勉強やキャリアの形成、日常生活の質の向上に繋げたい。